朱鷺書房
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ひきこもりからの旅立ち[ももこ14歳 魂の詩]
ひきこもりからの旅立ち[ももこ14歳 魂の詩]
著者 北風ももこ+井上敏明
定価 1,300 円+税
ISBNコード ISBN 4-88602-922-1
冊数 :
北風ももこの作品より

ねえ、君を待ってるんだ
恥ずかしがらないでこっちへおいでよ
街も人もみんな君を待ってるよ
ほら、緑が君を誘う 「準備は万端だよ」
花たちが君にささやく 「早くおいでよ」
みんな君を待ってるんだ
こわがらないで一歩踏み出してごらん
にぎやかに自然が笑った みんな声をそろえて言った
「今だよ!」
その時 私の頬に春風がそよいだ
(北風ももこ詩集「3 希望、光」より)

とびら

誰かがとびらをノックする
心はドッキンッ
するとそこにわたしの好きな笑顔
ホッとして
わたしは彼を中へ入れてあげる

誰かがとびらを閉める
心はズッキンッ
わたしは閉ざされたとびらの前で
立ち止まる

本当は いつでもだれでも
出入りできるように
開けていたい
わたしの心のとびら
だけど人前に出るとわたしは
ガチャンッと
とびらを閉めてしまう

コンコン……
ほら また誰かがとびらをノックしている
(北風ももこ詩集「12 不安」より)

せっけん

お前はいつも掴み所がない
きつく握りしめてもすぐに「いやだ」って言うんだ

お前はいつも逃げて行く
「待って」って手を引っ張ってもすぐにするりとはずれてしまう
探せば探すほど消えて行く
求めれば求めるほど遠くへ行く

お前が消えるとそこにはお前の面影がうつる
私はそれをきつく握りしめひとり言をつぶやく。

「やっとお前をつかまえた。」
(北風ももこ詩集「13 驚き、発見」より)

心のカレンダー

時がたつにつれて
悲しさを感じる
このまま自分だけ
ここに置いていかれるような
気がして
そうだな 今日と明日
そんな一瞬で
自分が変われるわけないけど
一ヶ月が過ぎて
カレンダーをめくるたび
わたしの弱さの皮も一枚ずつ
めくられていくといいのにな……
(北風ももこ詩集「14・喪失、失われた時」より)