著者 | 袖山榮輝・林田康順・小村正孝 |
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定価 | 本体価格1,500 円+税 |
刊行年月 | 2003年 4月 |
サイズ | B6判 |
ページ数 | 226 ページ |
ジャンル | 宗教・信仰 |
ISBNコード | ISBN 4-88602-185-9 |
浄土宗の宗祖法然上人。平安時代の末、ただ「南無阿弥陀仏」と称えるお念仏によって、誰もが阿弥陀仏の西方極楽浄土へ往生できるという教えを唱えました。たったそれだけの教えですが、平安仏教から鎌倉期にかけ仏教界に大きな転換をもたらしたといわれています。
それまで日本にお念仏の教えがなかったわけではありません。誰にでも称えられるものでしたから、民衆の間に浸透していました。浄土往生の教えがなかったわけでもありません。阿弥陀仏の西方極楽浄土は、平安貴族をはじめ当時の人々の憧れでした。ただし、お念仏は覚りを求める修行としては他の修行に劣るとか、極楽浄土も覚りの世界としては他に比べて不完全である、などという議論もなされていました。
にもかかわらず、いえ、だからこそ法然上人は、新たに浄土宗を立てました。その理由は本書にわかりやすく述べたつもりですが、上人は、念仏による極楽往生に仏教本来の姿があると確信したのです。そして浄土宗におけるすべての価値判断を、お念仏を称えるか否かの一点に求めていきました。
現在、浄土宗の寺院は日本全国に七千か寺。その他、ハワイ、ロサンゼルス、ブラジルなどにも教会があります。所属する僧侶の数は一万人。みな、お念仏の輪を広めるべく邁進しています。
「智者のふるまいをせずして、只一向に念仏すべし」(『一枚起請文』)
宗祖法然上人のご遺言にあるこの一節こそ、浄土宗の真髄です。上人のみ心を本書から読みとっていただけたなら、筆者として望外の喜びです。
袖山榮輝 林田康順 小村正孝
- 浄土宗の歴史
- 仏教とは
(釈尊の出家と苦行、中道の精神、仏教の根本思想、ほか) - 釈尊と浄土教
(湧きいずる慈悲、凡夫のために、釈尊と阿弥陀経、ほか) - 浄土宗の開祖、法然上人の生涯とその教え
- 仏教とは
- 浄土宗の教え
- 人間―ありのままの姿
(自力と他力、善導大師の人間観、阿弥陀さまのまなざし、仏さまに喜ばれる日暮らしを、ほか) - お念仏
(阿弥陀さまに親しい行、お念仏のひとり立ち) - 阿弥陀さまの願い―浄土三部経
(阿弥陀さまの本願−無量寿経、お釈迦さまの本心−観無量寿経、あらゆる仏の証明−阿弥陀経、善導大師と法然上人) - お浄土の救い
(一人称の死と二人称の死、心と心のふれあい−倶会一処、お浄土とこの世を結ぶ絆、ほか) - 「選択」された本願のお念仏―勝れて易しいお念仏
(「選択」とは? 人間の常識は仏の非常識、選択による仏教の展開) - 安心―三つの心がまえ
(まことの心、深く信じる心、往生を願う心) - お念仏の生活―四修
(敬う生活、ただひたすらに、他をまじえず、命尽きるまで、たった一度の「この私」の往生) - お念仏を称える功徳
(三つのご縁、五つの増上縁、光明に照らされる功徳、来迎をいただく功徳) - お念仏と日々の暮らし
- 人間―ありのままの姿
- 仏事と作法
- 葬儀
- 法事の意義と心がまえ
- 先祖感謝の法要
(彼岸会、施餓鬼会、お盆)
- 阿弥陀さまとともに
- お仏壇は家庭内極楽
(お仏壇の意味、まつり方) - おまいりの作法
(合掌は帰依のすがた、お数珠とお袈裟、お焼香、ほか) - お墓―ご先祖とのふれあい
- お仏壇は家庭内極楽
- 浄土宗寺院の諸法要
- 仏年中行事
(修正会、降誕会、成道会、涅槃会、御忌、十夜、仏名会) - 特殊法要
(帰敬式、授戒会、五重相伝、仏前結婚式)
- 仏年中行事
- 日常勤行式
- 付録 浄土宗の諸寺院