仏教的こころ
著者 | 前田孝道 |
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定価 | 本体価格1,400 円+税 |
刊行年月 | 2000年 12月 |
サイズ | B6判 |
ページ数 | 224 ページ |
ジャンル | 宗教・信仰 |
ISBNコード | ISBN 4-88602-180-8 |
本文より
「法句経」には、詩や歌のように音律を持った韻文の短詩が四百篇以上もおさめられています。 これらは、やさしい言葉とすぐれた比喩(たとえ話)で綴られており、人々の心に感動を与えずにはおかない、素晴らしいお経です。
これを読むと、お釈迦さまは、本当に素敵な指導者だったんだなあ、と思わずにはいられません。今日はその中から第二百四十番目の「鉄の錆」のおさとしをご紹介しましょう。
「錆は鉄より生ずれど 生じた錆はそのままに 鉄そのものをいためつけ 使えぬようにするごとく 悪事は人の心より つくりだされてその人を悪趣(地獄)の底へ導かん(鉄からでた錆すぐ磨け こころの悪はすぐ払え)」とあります。
鉄という物質、それに生ずる錆をもって人の心の在り方を説き明かされているのです。このごろのわが国のありさまを眺めますと、よくもまあこれほどと思えるくらい、あちらにもこちらにも、日本国中錆だらけの感が拭えません。これが一過性の現象ですむのなら大した問題ではありませんが、わが国の人々の心に生じた鉄錆は、どうもかなり深刻なように思えます。
(本文「鉄の錆」より一部抜粋)
目次より
- 第一章 心の働き
- もの忘れ 老いの坂をどう越えるか 脚下照顧 「和」について 他
- 第二章 仏の教え
- 有ること難し 「差別」について 道を求めるわけ 鉄の錆 煩悩 他
- 第三章 日本人の心
- 花を伝える どうもおかしな金儲け 名残の春 他
- 第四章 とかくこの世は
- 学ぶということ 二つの物差し 丸いタマゴ 人間の性 他
- 第五章 死ぬこと生きること
- 生命の価値 「往生」を考える 人は道によって賢し 他
- 第六章 育てる心
- 子育て 教育の効果について 朱に交われば 子育て免許証 他
- 第七章 紀三井寺
- 福田元総理の思い出 私の日記帳 紀三井寺の由来と御詠歌 他
- 第八章 巡拝の旅
- 念ずれば通ず 四十年目の団参 七歩の詩 お花まつり 他